『アイヌ政策の推進に関する法律(案)』の問題について

北海道新聞によると、次の国会で審議される「アイヌ施策の推進に関する法律案(仮称)」とは、以下のような内容との事。

まず、対象は「北海道の先住民族であるアイヌ」に限らず、法案によると「北海道及びその周辺地域の先住民族であるアイヌ」となっているため、境界が定められていません。つまり全国が対象となり得ます。

次に法案の「何人もアイヌに対して、アイヌであることを理由として差別すること、その他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。」という条文ですが、これ単体で見ると問題が判りづらいと思います。

しかし、ここで云う「権利」とは何か?

・農水相は住民に国有林でアイヌ工芸品の製造などに利用する林産物を採取する権利を取得させることができる

・アイヌの伝統儀式や漁法の伝承などを目的とした、河川のサケの採捕が円滑に行われるよう適切に配慮する

・アイヌ商品等需要開拓事業の商標登録については、登録料を軽減または免除することができる。

とあるように、「これがアイヌの伝統文化である」と主張すれば、それは国有林での採取や河川での漁撈を「アイヌだから許可」され、さらには「侵害する行為をしてはならない」のです。

また「これがアイヌの伝統文化だから商標として登録する」として登録料を免除して登録可能ですから、登録されるまで何回でも申請できるでしょうし、登録してしまえば、いわゆる「文化の盗用問題」が、直接的な「知財権の侵害」で訴えることが可能となります。

しかも、こうしたアイヌに関する管理を委託される「指定法人」という制度があり、要するに国としては「指定法人に丸投げ」となります。

この「指定法人」は、法案では以下のような内容が記載されているようです。

【指定法人】国交相と文科相はアイヌ文化の振興等を目的とする一般社団法人または一般財団法人を、《1》象徴空間の管理《2》アイヌ文化を継承する者の育成やアイヌ文化の振興に関する業務《3》アイヌの伝統等に関する広報活動《4》アイヌ文化の振興等に資する調査研究―などを行う者として指定できる。

しかも「附則」によると、この指定法人とは「指定法人は象徴空間管理の委託を受ける前でも必要な準備をできる」とあり、また「この法律は公布の日から1カ月を超えない範囲で施行する」とあるため、現時点で活動している団体、つまりは「アイヌ協会」が「指定法人」として取り仕切ると言っているのと同じことでしょう?

つまり、まとめると
1.国のお墨付きで「アイヌ協会」が「指定法人」となる
2.「指定法人」がアイヌの文化保護だと言えば、「誰もそれを阻害してはならない」
3.国有林や河川での採取・漁撈活動も、指定法人が「アイヌ文化保護」として要求できる
4.「アイヌ」と認定される定義が不明なまま、アイヌ協会による「認定」がお墨付きとなる
5.範囲が「北海道」に限定されないので、何処でも「ここにアイヌの活動実績が在った」と言われたら、それを「アイヌでは無い」という否定が出来ない(アイヌである条件が定義されない以上、どこまでも拡張可能)
6.全国どこにでも「先住民族の聖域」を作れるようになる(アイヌの権利だと主張されたら、それを侵害してはならない)

こんなザル法案のままで成立させたらエライ事になりますよ!?


引用した内容は、以下の通り

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/263378
北海道新聞 12/31 05:00
「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案(仮称)」の要旨は次の通り。
【目的】北海道及びその周辺地域の先住民族であるアイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を図り、全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。
【基本理念】アイヌ文化振興・環境整備に関する施策は、アイヌの自発的意思や民族としての誇りを尊重するよう配慮しつつ、講ぜられなければならない。施策は北海道のみならず、全国的な視点に立って講ぜられなければならない。何人もアイヌに対して、アイヌであることを理由として差別すること、その他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。
【責務】国や自治体はアイヌ施策を策定し、実施する責務を有する。教育活動などを通じて、アイヌの伝統等に関する国民の理解を深めるよう努めなければならない。国民はアイヌが誇りを持って生活し、その誇りが尊重される共生社会の実現に協力するよう努めなければならない。
【基本方針】政府は施策の効果的な推進を図るため、その意義や目標を規定した基本方針を定めなければならない。
【民族共生象徴空間】象徴空間の管理を指定法人に委託できる。国は派遣職員のほか、象徴空間の業務のため人的援助をする。
【地域計画】地方自治体は基本方針に基づき、アイヌ文化振興・環境整備を図るための地域計画を作成し、首相の認定を申請できる。地域計画には《1》アイヌ文化の保存や継承《2》アイヌの伝統等の理解の促進《3》観光や農林水産業など産業の振興《4》地域間や国際交流の促進―などに資する事業を記載する。事業を実施しようとする者は自治体に計画作成を提案でき、自治体は作成するか否かを提案者に通知しなければならず、作成しない場合は理由を明らかにしなければならない。首相は計画が基本方針に適合する時などは認定し、公示する。計画変更には首相の認定を受けなければならない。首相や関係閣僚は自治体に計画の実施状況について報告を求め、必要な時は措置を講ずることを求めることができる。首相は計画の認定を取り消すことができる。
【特別措置】《1》国は地域計画の認定を受けた市町村に交付金を交付できる《2》市町村が地域計画の認定を受けた時は、農水相は住民に国有林でアイヌ工芸品の製造などに利用する林産物を採取する権利を取得させることができる《3》農水相や都道府県知事は地域計画の実施のため、アイヌの伝統儀式や漁法の伝承などを目的とした、河川のサケの採捕が円滑に行われるよう適切に配慮する《4》地域計画に定められたアイヌ商品等需要開拓事業の商標登録については、登録料を軽減または免除することができる。
【指定法人】国交相と文科相はアイヌ文化の振興等を目的とする一般社団法人または一般財団法人を、《1》象徴空間の管理《2》アイヌ文化を継承する者の育成やアイヌ文化の振興に関する業務《3》アイヌの伝統等に関する広報活動《4》アイヌ文化の振興等に資する調査研究―などを行う者として指定できる。指定法人は事業計画書と収支予算書を作成し、国交相と文科相に提出しなければならない。
【アイヌ政策推進本部】アイヌに関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、内閣にアイヌ政策推進本部を置く。本部は基本方針案の作成や基本方針の実施をつかさどる。本部長は内閣官房長官、副本部長はアイヌ政策総合担当相、本部員は外相、法相、文科相、厚労相、農水相、経産相、国交相、環境相ら。
【付則】この法律は公布の日から1カ月を超えない範囲で施行する。指定法人は象徴空間管理の委託を受ける前でも必要な準備をできる。アイヌ文化振興法は廃止する。政府は新法の施行後5年を経過した場合、施行状況を検討し、その結果に基づき、所要の措置を講ずる。

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